(c) Google Map Streetview 5, rue des Martyrs, 9e |
イポリット・ルバ通りから商店街の続くマルティール通りに出る。さまざまな店の様子を見て歩くのも楽しみの一つである。ときどき店の名前の中でも面白いのに気づいて勝手にうなづいてみたりする。この通りにも(←)「食いしん坊のネズミ」(La souris gourmande)(ラ・スリ・グルマンド)=チーズ屋さん、「酒神の隠れ家」(Le repaire de Bacchus)=ワイン屋さん、「味蕾(舌の味覚を感じる箇所)」(Les papilles gourmandes)=食料品店、「オーベルニュの味」(Aux saveurs d'Auvergne)=食料品店などがある。
通りの名前のマルティール(Martyrs)とは「殉教者たち」という意味のフランス語の普通名詞で、その昔ローマ帝国領だった紀元3世紀中頃に、聖ドニ、聖エルテール、聖リュスティクの3人の聖者がパリの中心からモンマルトルの丘で斬首されるためにこの道を通って行ったとされる。パリでも最も古い通りの一つである。モンマルトルの丘も語源的には、モン(山 mont)とマルトル(殉教 martre < martyre )が合わさった呼び方である。その3人の中でも聖ドニ(St.Denis)は、切られた自分の首を抱えて北の方に歩き出し、パリ郊外のサン=ドニまで至ったという伝説があるのは有名である。(CVP)
☆マルティール通り7番地 (7, rue des Martyrs, 9e) 《ブラスリー・デ・マルティール跡》
(c) Google Map Streetview 7, rue des Martyrs, 9e |
上のチーズ屋の2軒隣は、今はカルフールという大手スーパーの都心型小店舗になっているが、入口が狭いわりには奥が広く長く、西側の別な通り(ノートルダム・ド・ロレット通り)に突き抜けられる。ここは19世紀の中頃に繁盛した居酒屋《ブラスリー・デ・マルティール》(Brasserie des Martyrs)の跡である。
H.Murger - La vie de Bohème Aquarelle par A.Robaudi @Bnf Gallica |