パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2015年10月3日土曜日

散歩R(1-2) シャトーダン通り Rue de Châteaudun, 9e(9区サン=ジョルジュ地区)

教会の前の比較的広い通りは、シャトーダン通りである。シャトーダン(Châteaudun)は中部ロワール地方の古くからの町だが、1870年の普仏戦争のときに、駐屯していた1300の国民軍の兵士が町民とともに1万人のプロシア軍に対して勇敢に抗戦したという事跡を記念して名づけられた。

(c)Photo Emoulu bc01b, 2013
☆ シャトーダン通り17番地 (17 rue de Châteaudun, 9e)

(c)Photo Emoulu bc01a, 2013
ちょうど教会を背にして左向かい側の建物の装飾は一見する価値がある。建物は1865年に竣工した。建築家はローランシー(Hubert-Mathurin Laurency) 。典型的な19世紀中頃のアパルトマンである。高さが2階まである広い馬車門と3階の透かし彫りの石のバルコニー、4階の美しい鉄細工模様のバルコニーの重なりが見事な調和を醸し出している。

バルコニーを支える持ち送りの両端には台座に乗った一対の女神像(cariatide) が立ち、さらに中央には支柱としてスフィンクスが並んでいる。このスフィンクスとは、エジプトのピラミッドの横のではなく、ギリシア神話の中でオイディプスが謎を解いたという小怪獣である。

幻想的な作品を多く残した画家ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826-1898) による「オイディプスとスフィンクス」(Œdipe et le sphinx, 1864) の絵では、謎を掛けてオイディプスに迫るスフィンクスの整い過ぎた顔立ちと艶かしさに吸い込まれそうな危険を感じない訳にはいかない。(↓部分掲載)







(c)Photo Emoulu bc02a, 2013