パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2015年10月1日木曜日

散歩R(1-1) ノートルダム・ド・ロレット教会 Église de Notre-Dame de Lorette(9区サン=ジョルジュ地区)

 この散歩は、パリ9区のサン=ジョルジュ地区(Quartier Sait-Georges)を巡る。19世紀の後半に新興住宅街として発展し、文人や芸術家が多く住む文教地区として「新アテネ」(ヌーヴェル・アテーヌ Nouvelle Athène)とも呼ばれた。
(c)Photo Emoulu bc00a, 2013

☆ シャトーダン通り18番地の2 (18bis rue de Châteaudun, 9e)
 《ノートルダム・ド・ロレット教会  Église de Notre-Dame de Lorette 》
PA00088905  © Monuments historiques, 1992  
Classé
PA00088905

メトロ12号線の同名の駅から出ると目の前にギリシア・ローマ風の堂々とした教会が現れる。ノートルダム・ド・ロレット教会 (Église de Notre-Dame de Lorette)は、直訳すれば「ロレットの聖母教会」となるが、ロレットとはイタリア中部東岸アンコーナに近いロレート町(Loreto)のことで、カトリック教徒の巡礼地である。ここにはナザレにあった聖家族の家が天使たちによってこの地に運ばれたという伝説がある。(参考: Sanctuary of the Holy House of Loreto )

この教会は1823年から1836年にかけて建築家イポリット・ルバ(Hippolyte Lebas, 1782-1867) によって建てられた。ローマにあるサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(Basilica Santa Maria Maggiore)をモデルに、正面は厳粛な古典様式で、イタリアによく見られるように屋上に3体の寓意彫像(信仰、希望、慈愛)が立っている。4本の太いコリント風装飾の円柱は威厳があり、上部の三角破風に天使たちが見守る聖母マリアと幼児イエスの浮彫が見える。

(→)内陣の装飾も、一般的なフランスの教会とは雰囲気が異質で、青を基調としたイタリア的な天井の十字模様が印象に残る。

堂内の壁面には建設当時の新古典派の画家ミシェル・マルタン・ドローリング (Michel Martin Drolling, 1779-1851)作の「律法学者たちの中に立つ若きイエス」(Jésus au milieu des docteurs, 1840) が見られる。( ↓ )