パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2016年2月3日水曜日

散歩R(18-6) ラ・ブリュィエール通り Rue La Bruyère, 9e(9区サン=ジョルジュ地区)

この通りの名前となったラ・ブリュィエール(Jean de La Bruyère, 1645-1696)についてまだ言及していなかった。彼は17世紀、ルイ14世の時代にパリの裕福なブルジョワ家庭に生まれた。ポワチエの大学で法律を学んだあと、20歳でパリの弁護士会に登録した。しかし彼は訴訟事が嫌いで、8年後に退会している。1684年39歳のときに王族の大コンデ公(Le grand Condé, Louis II de Bourbon, 1621-1686)の16歳になる孫ルイ3世の養育係となった。2年後にその大コンデ公が亡くなり、この仕事は終わったが、後継ぎの公爵は彼を屋敷付けの貴人として遇したので、ラ・ブリュィエールはじっくりと読書と著作に励んだ。『人さまざま、または当世風俗誌』(Les Caractères ou les Mœurs de ce siècle)は、達意の文体と鋭い分析で当時の宮廷貴族から聖職者、平民の生態や性格を処世訓、省察、人物描写などの形で書き綴ったもので、1688年の初版から亡くなる年の1696年まで9版の改訂と増巻を重ねた。(DNR)

この通りの名前は1824年に付けられたが、この地域は19世紀前半に住宅地として開発されるまではパリの郊外の畑作地だったので、本人とはまったく関係がない。箴言家として最も有名なラ・ロシュフコーの一族の名前がついた古い通りが先にあったので、それに十字に交わる通りに彼の名前が付けられたのかもしれない。

*参考サイト「フランス箴言集」:ラ・ブリュィエール
http://promescargot.blog.fc2.com/blog-category-18.html

(c) Google Map Streetview
 9, rue La Bruyère, 9e

☆ラ・ブリュイエール通り9番地 (9, rue La Bruyère, 9e)

珊瑚の一種のような迷路模様をあしらった両側の壁面が目立つ。門飾りのアラベスク模様と鉄格子の模様も繊細である。









(c) Google Map Streetview
 17, rue La Bruyère, 9e

☆ラ・ブリュイエール通り17番地 (17 rue La Bruyère, 9e)

カエルのおどけた顔を思わせるような門飾りである。こうした抽象と具象の中間的な紋様もパリには多い。



(c) Google Map Streetview
 21, rue La Bruyère, 9e





☆ラ・ブリュイエール通り21番地 (21 rue La Bruyère, 9e) 

まず門飾りの中央に鬼の面のような仮面がにらみを利かせていて面白い。上階の窓脇の唐草模様も凝っている。









(c) Google Map Streetview
 26, rue La Bruyère, 9e




☆ラ・ブリュイエール通り26番地 (26, rue La Bruyère, 9e) 《画家ルノワールの住居》
☆ラ・ロシュフコー通り33番地 (33, rue de La Rochefoucauld, 9e)

◇パリ蝸牛散歩内の関連記事:
9区サン=ジョルジュ地区 (11-4) 画家ルノワールの住居
http://promescargot.blogspot.jp/2015/12/11-4.html


かたつむりの道すじ:⑱ラ・ブリュィエール通り~⑲エネ通り&ポール・エスキュディエ通り~
⑳シャプタル通り~㉑ジャン=バティスト・ピガール通り (c) Google Map