パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2015年12月9日水曜日

散歩R(11-8) 芸術家の家(その2)グノー Maison des artistes (suite) Gounod(9区サン=ジョルジュ地区)

☆ラ・ロシュフコー通り17番地 (17, rue de La Rochefoucauld, 9e)
《芸術家の家》(その2)

(3)《作曲家グノーの住まい》Ancienne demeure de Gounod

作曲家シャルル・グノー(Charles Gounod, 1818-1893)が1866年頃から1879年頃まで住んでいたのは通りに面した1階の質素なアパルトマンだった。彼はこの1866年に47歳で芸術アカデミー(Académie des Beaux-Arts)の会員に選出されたばかりで、偶然かどうかは不明だが、恩師のアレヴィと同じ建物に約20年後に住むことになった。フランスのアカデミーでは全体で毎年、年報(Annuaire)を出していて、活動報告や会員の交代、住所録などが記録されており、当時の会員の住所を確認することができる。
Première représentation de Faust, opéra de Charles Gounod : illustration de presse / gravure de Lefman
Acte 5e, deuxième tableau, Décoration de MM Cambon et Thierry
@BnF, département Bibliothèque-musée de l'opéra, Estampes Scènes

グノーは20代では教会のオルガニストを務め、専ら宗教音楽を作曲していたが、1850年以降は当時フランスで盛んに楽しまれたオペラを中心とした劇音楽に傾注するようになった。彼の代表作とされるオペラ『ファウスト』(Faust)(フランス語では「フォースト」と発音するようだ)は1859年3月19日にリリク劇場(Théâtre Lyrique)で初演されて以来、フランス語のオペラとしては史上最多の上演回数を誇る。(↑)上掲は初演時の「ファウスト」の舞台の様子を伝えた絵入り新聞の銅版画で、その壮大さに圧倒される。


(Détail de la gravure de Lefman)
1860年代の後半はグノーの生涯でも最も成功に満ちた時期となった。1867年のパリ万博の年に初演となったオペラ『ロメオとジュリエット』(Roméo et Juliette)も大成功を収めたのに加え、1869年には『ファウスト』の改訂版、つまりグランド・オペラとしてそれまでの台詞の部分を叙唱(レシタティフ、récitatif)に置き換え、さらにバレエを付け加えてこのオペラの評価を不動のものとした。

最近の名演奏として知られるのは、2008年の南仏オランジュ音楽祭(Chorégies d'Orange)での公演で、Youtubeでは全曲のものと、第3幕の愛の二重唱の場面とが見聞きできる。ロベルト・アラーニャ(ファウスト)、インヴァ・ムラ(マルグリート)、ルネ・パーペ(メフィストフェレス)である。

Faust aux Chorégies d'Orange 2008
Inva Mula - Roberto Alagna - Faust - part 1/2
https://www.youtube.com/watch?v=2p5KrxPAqik

Inva Mula - Roberto Alagna - René Pape - Faust - part 2/2
https://www.youtube.com/watch?v=cormPayyosA


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