パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2015年11月3日火曜日

散歩R(9-2) アンリ・モニエ通り Rue Henry Monnier, 9e(9区サン=ジョルジュ地区)

(c) Google Map Streetview
 21, rue Henry-Monnier, 9e
☆アンリ・モニエ通り21番地 (21, rue Henri-Monnier, 9e)

広場の外れからそのまま通りを少し上がった左手21番地の建物に美しい女性の頭部とその周りに豊かな装飾を施した持ち送りが見つかる。
1907年の建築で壁面にはっきりと建築士ジョルジュ・ギヨン父子(G.Guyon et fils)と彫刻家ジョルジュ・アルドゥアン(G.Ardouin)の名前が刻み込まれている。この建築士と彫刻家の組合せは、20世紀初頭のパリやその近郊で建てられたあちこちの建物に見られる。
建築装飾の専門書には「象徴派的な女性の顔」(Visage féminin symboliste)と記されているように古典的、神話的な女神像ではなく明らかに近代的な女性の顔である。

(c) Google Map Streetview
 21, rue Henry-Monnier, 9e














(c) Google Map Streetview
 25, rue Henry-Monnier, 9e
☆アンリ・モニエ通り25番地 (25, rue Henri-Monnier, 9e)

一つ空けた並びの25番地の建物もまったく同時期に、同じ建築士と彫刻家のコンビで作られた。双生児のような装飾デザインである。ただしこちらの入口は、幼児の体つきをした小天使(Angelot)2人が戯れている彫刻で、門構えと持ち送りが一体となっている。
建物全体の窓飾りやバルコニーの持ち送りにも細かな装飾が施され、数多くの人面像を見ることができる。残念ながらいずれも歴史的建造物にはなっていない。

Edouard Manet : Le Déjeuner sur l'herbe
(Détail) Paris, Musée d'Orsay
Photo (C) RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) /
Benoît Touchard / Mathieu Rabeau






この25番地には、印象派の先駆者となった画家エドゥアール・マネ(Edouard Manet, 1832-1883)が美術界に衝撃を与えた盛期の傑作群の絵画にモデルとして重用されたヴィクトリーヌ・ムーラン(Victorine Meurent) が住んでいたとされる。(PRR)



ここから散歩者は通りを引き返して、坂を下り、ロレット通りの方を目ざす。