(c) Google Map Streetview 128bis, boulevard de Clichy, 18e |
この建物は、シニャックのアトリエがあった130番地のすぐ隣である。ジョルジュ・スーラ(Georges Seurat, 1859-1891)は1884年の秋頃からこの建物の6階にアトリエを構えていた。
当時24歳のスーラは、最初の大作『アニエールの水浴』(Une baignade, Asnières)をサロンに応募したが、落選となったため、若手のシニャックらと共に自分たちで展覧会を開こうと《独立芸術家協会》(Société des artistes indépendants) を創立して、アンデパンダン展(Salon des indépendants) を開催した。
彼は引き続いて『グランド・ジャット島の日曜日の午後』の制作に取り掛かって、2年近くの時間をかけて、当時パリ北西郊外にある行楽地だったセーヌ河畔の島に何度も出かけ、スケッチや下絵を何枚も描いた。
Seurat : Un Dimanche après-midi à l'île de la Grande Jatte (1884-85) Chicago Art Institute Wikimédia Commonns |
この大作は、印象派の長老ピサロの推薦で1886年の第8回印象派展に出展されたが、様々な意見の大きな反響を引き起こした。
印象派の新たな動きとなる《新印象派》(Néo-impressionnisme)の記念碑的な作品となった。
Seurat : Les Poseuses Fondation Barnes, Philadelphia, USA Wikimédia Commons |
1887年からは、彼は『ポーズする女たち』に取り掛かったが、この絵に描かれた背景は、まさにこの建物の6階にあったスーラのアトリエそのものであった。背景の左側に『グランド・ジャット島』の完成された絵の一部を入れているのもスーラの自信の顕れかもしれない。
三人の女たちは、モデルを三人三様のポーズに立たせたものではなく、一人ずつ個別に描いたものを組み合わせたと思われる。それは、前作の河畔の人々の姿がある日の午後の一瞬を描いたものではなく、時間軸を重ねて、計算された配置によって画面が構成されたのと同様に、三人の姿も組み合わされたものだと思われるからである。
いずれの作品にしても、人々の姿は幻想的で、肉惑を感じさせない。それは点描画法による視覚効果を突き詰めた新印象派の画家たちの特徴かもしれない。
スーラはこのアトリエに友人のフォラン(Jean-Louis Forain, 1852-1931)の風刺画やギヨーマン(Armand Guillaumin, 1841-1927)の絵画を飾っていたが、当時ポスター画家として大人気だったシェレ(Jules Chéret, 1836-1932)によって描かれた女性の流れるように踊る姿と身のこなしの軽快さに心酔していた。(LAI)
かたつむりの道すじ:①クリシー並木通り~②クリシー広場・クリシー大通り~③クリシー通り~ ④ブリュッセル通り~⑤アドルフ・マックス広場~⑥ドゥエ通り~⑦ブランシュ通り~⑧カレ通り~ ⑨バリュ通り~⑩ヴァンティミル通り~⑪クリシー通り(再) (c) Google Map |
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