パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2017年8月3日木曜日

散歩Q(6-4) 画家フロマンタンのアトリエ跡 Emplacement de l'atelier de Fromentin(クリシー広場~ユーロプ界隈)

☆ドゥエ通り40番地の2 (40 bis, rue de Douai, 9e)
画家フロマンタンのアトリエ跡 Emplacement de l'atelier d'Eugène Fromentin

(c) Google Map Streetview
 40 bis, rue de Douai, 9e
40番地の2には画家のウジェーヌ・フロマンタン(Eugène Fromentin, 1820-1876)がアトリエの一つを構えていた。

20代以降、アルジェリアに何度も旅行をしたが、その際に魅了された異国の風物を描いた作品でサロンに認められ、人気を集めた。19世紀にはロマン主義の風潮が隆盛を極め、東方趣味(orientalisme)や異国情緒(exotisme)に満ちた文学や絵画、音楽がもてはやされた。

下掲は(↓)彼の代表作の一つ『青サギ狩り』(La chasse au héron)の絵だが、雄大な空間の広がりのある構図に引きつけられる。しかしながらフロマンタンの作品には感情表現の掘り下げが希薄で、表面的な意味での「絵に描いたような」風物しか見えてこないのが残念だ。
Fromentin : La chasse au héron (1865)
Chantilly, musée Condé
Crédit Photo (C) RMN-Grand Palais  / Harry Bréjat

それを補完するかのように彼は文筆家としての才能も発揮し、旅行記『サハラ砂漠の夏』(Un été dans le Sahara)、半自伝的な心理小説の傑作『ドミニク』(Dominique)、で高い評価を得た。美術史家としても晩年オランダに旅行した後、レンブラントなどを論評した『昔日の巨匠たち』(Les Maîtres d'autrefois)を著した。

このドゥエ通りの少し先に、フロマンタンの名前を冠した小さな通り(rue Fromentin, 9e)も現存している。