パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2017年3月11日土曜日

散歩Q(6-1) 画家ボナールの住居跡 Ancienne demeure de Pierre Bonnard(クリシー広場~ユーロプ界隈)

☆ドゥエ通り65番地 (65, rue de Douai, 9e)
《画家ピエール・ボナールの旧居》 Ancienne demeure de Pierre Bonnard

(c) Google Map Streetview
 65, rue de Douai, 9e
ベルリオーズ公園の北側は、ドゥエ通り(Rue de Douai)の一部になっていて、西側はクリシー広場に通じている。

現在クリシー広場にあるパテ社の映画館の入った大きな建物が見える手前の65番地(クレープ屋がある)は、ナビ派出身の画家ピエール・ボナール(Pierre Bonnard, 1867-1947)が一時期住んでいた場所である。(PRR)

1898年から画商のアンブロワーズ・ヴォラール(Ambroise Vollard, 1866-1939)は、ナビ派のボナール、ヴュイヤール、モーリス・ドニなど同世代の若手の優れた画家たちに依頼し、『パリ生活の諸相』(Quelques aspects de la Vie de Paris, 1899)と題した版画集を出版した。全4巻で計画され、各人が12点の彩色リトグラフでパリの生活風景を制作し、高い評価を獲得した。
Pierre Bonnard : La Place Clichy
(la vue présumée de la rue de Douai)
@Quizz Paris en peinture

ボナールがここに住んだのも30代初めのこの時期で、クリシー広場界隈の風物画や風景画も多く描かれた。右掲(→)は、比較的遠景のクリシー広場の絵だが、住居のあったドゥエ通りから描いたのではないかと思われる。印象派の技法を受け継ぎながらもボナール独特の味わいがある。

この時期の傑作の一つとされるのが、下掲(↓)「クリシー広場」の店先風景である。ボナールの得意とする暖色系の明るい色彩の中に、描かれた街中の女性たちの身体の微妙なしなり方が魅力的だ。
Pierre Bonnard : La Place de Clichy (1912)
@ Wikiart





ボナールは、65番地の家に住んだ後も同じ通りの向い側60番地に住み続けた。現在はリセの建物の一部になっている。近くに親友のヴュイヤール(Edouard Vuillard, 1868-1940)も住んでいたので、この界隈での生活がとても気に入ったのだろう。

◇パリ蝸牛散歩内の関連記事:
(2-5)クリシー広場(再2)Place de Clichy (suite)
http://promescargot.blogspot.jp/2016/07/2-5place-de-clichy-suite.html


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